□STORY□


『なぁ、どうしてもこれないの? 東京。』
『私はここに残るよ。この町が好きだから。』

そういって彼と遠距離恋愛をする事になったのが一年前。
前まで煩いほど鳴っていた携帯も、すっかり鳴らなくなった。
遠距離の末、自然消滅。何処にでも転がっているような恋の終わり。
でも当事者は簡単に割り切れる事でもなくて。
私は…まだ彼のことが忘れられずにいる。

私の住む町は千葉の端にある小さな田舎町。
そこで家族経営のお惣菜屋(めぐみ)を手伝いながら日々生活している。
オカマ口調だけど頼れるお父さん、優しくて天然なお義母さん、そして毒舌家の義兄。
そんな楽しい家族に囲まれて、これといって目立つこともなく、毎日が過ぎていく。
けれど ある日を境に、日常は変化していく。

「井上 響です。宜しくおねがいします。」

何処か彼に似ている、男の子。

「大丈夫なんですか?そんな奴と一緒に住むだなんて。」

幼馴染で、弟みたいな存在の子。

「そんなくだらない事ばっか覚えてるから、お前は馬鹿なんだ。」

口を開けば憎まれ口を叩く、義兄。


それでも私は、私が本当に好きなのは―――。


ありふれた二人のLOVESTORY。
目指した!少女マンガ的恋愛SLG